2018年05月27日付

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天皇陛下の退位が来年4月末に迫り、「平成」も残り1年を切った。平成とはどんな時代だったのか。時代を振り返る企画もメディアにみられる。私たちはどんな気持ちで新しい時代を迎えるのだろう▼筆者が最も印象に残るのは1995(平成7)年。そう、阪神淡路大震災と、地下鉄サリン事件に代表される一連のオウム真理教事件だ。時に牙をむく自然の脅威と、人間の心の底知れない闇が、ともに平穏な日常を突然断ち切った。その恐怖感は今でも覚えている▼オウム事件は有名大学出身の知的エリートたちが教祖を妄信して凶悪犯罪に手を染めた。事件を追い続けるジャーナリストの江川紹子さんは、時事通信のインタビューで平成時代を振り返り、「人間は簡単に心が支配される」「人間は見たいものを見て、信じたいものを信じてしまう」ことが事件の一番の教訓だと指摘する▼それは現在でも変わっていないのではないか。「いくら事実や根拠を示しても、信じたいものを信じ、敵対すると思うと攻撃する。政治的な左右を問わず、二元論的な対応をする人はいる」とも言う▼平成の次の時代はもっと世の中が便利になり、1人でも生きられる社会になるだろう。それは一方で、個人の孤独感や疎外感を一層根深くするのではないか。再び「オウム」的なものが心に忍び寄ってくる危険はないだろうか。事件を思い出していて、ふとそう思った。

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