2018年6月8日付

LINEで送る
Pocket

どんな感じだろうか、と照明を消して夕食を食べたことがある。薄暗がりの中だからご飯やおかずの形は確認できるけれど、その色や趣などは全く分からない。何の味もせず、食事をした気にならなかった▼食べるとは、単なる栄養の摂取ではないということだろう。食べ物のきれいな色の取り合わせがあって、食欲をそそるにおいがして。時には手触りも感じながら口に運ぶ。脳や心が刺激され、ものを食べる喜びにつながる。持てる感覚全てで味わう▼とすれば、誰かと一緒に食べるというのも、食事の大きな味付けの一つと言っていいのだと思う。家族や仲間と食卓を囲み、メニューをめぐり、そして全く別の話題に会話を弾ませながら、ゆっくり食べる。味や趣は1人で食べるより何倍にも膨らんでいく▼先日発表された2017年度版の食育白書で、全ての食事を1人で取る日が週の半分以上の人が、約15%いることが分かった。6年前の調査に比べて5ポイントの上昇。単身世帯や少人数世帯の増加が背景にあると、白書は指摘する。いや応なく「孤食」となる実態が見え隠れする▼誰かと食事をともにする人は、栄養バランスの取れた食生活をし、心の健康状態もいい傾向が強いという研究結果があるそうだ。仕事が忙しくても週何度かは家族そろって食卓につく。地域で1人暮らしの人が集まった食事会を計画する―。時代に合った工夫が求められる。

おすすめ情報

PAGE TOP