アツモリソウ発芽願い 上農高生が人工授粉

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アツモリソウの自生地で人工授粉の作業をする上伊那農業高校の生徒=14日、美ケ原高原

美ケ原高原に自生するアツモリソウ(ラン科)の保護回復事業に参画する上伊那農業高校(南箕輪村)は14日、松本市と上田市にまたがる高原の自生地を訪れ、開花個体の人工授粉作業をした。絶滅の危機にひんしているアツモリソウの無菌培養増殖に向け、より確実に種子を結実させるための作業で3年目。バイテク班の3年生と植物科学コースの2年生が、結実とその後の発芽を願いながらピンセットを動かした。

今年確認できた開花個体は10株ほどで、同校は今月5日と9日に2株ずつ人工授粉を実施。この日は4株を対象に作業をし、花粉を採取してめしべに付着させていった。

昨年は花粉を同じ花の柱頭につける「自家授粉」で行ったが、今年は2株同時開花が見られたため、他の花のものにつける「他家授粉」が初めて実現。受精したかは1週間後に分かるが、バイテク班顧問の有賀美保子教諭(41)によると、一般的に他家授粉の方が受精率が高まるとされている。

種子ができた場合、8月に再び自生地を訪れて2株を上限にさやを採り、校内の無菌室で培地(培養)瓶に種をまく作業を行う。過去2年は種はできたものの、無菌播種により芽を出した例はなく、芽の元になるプロトコームの形成や発芽が当面の目標だ。将来の成果を見据え、美ケ原の個体群についての遺伝子解析は進めていく。

アツモリソウは県版レッドリストで絶滅危惧IA類に指定。県によると、美ケ原の個体群は、シカの食害が深刻だった時期から次第に回復しているものの、生育数は数十個体にとどまるという。同校は2007年から無菌培養の研究に着手。一昨年5月に県からアツモリソウ保護回復事業に認定され、美ケ原での活動に乗り出した。

バイテク班の副班長で3年の椎名暢彦さん(17)は「絶滅危惧種の人工授粉という重圧もあって緊張したが、無事終えられて良かった」と安堵の表情。成果を出すには歳月も必要で「後輩たちに受け継がれ、いつか、アツモリソウがたくさん咲く美ケ原を取り戻すことができれば」と願っていた。

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