2016年05月07日付

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「霞日や木遣り音頭の唄の節」。幕末から明治に掛けて伊那谷を放浪した俳人の井上井月も、どこかで御柱祭を見たのだろうか▼「山出し、里引き。力を合わせるため、音頭取りは長い列の全員に聞こえるように高い声を張り上げる。かん高い声が静かな村落に響く。鍛え抜いた名調子。祭一色の春」。この句の味わいを研究者の竹入弘元さん=伊那市=の著書から引いた。井月は愛する酒をあちこちでいただきながら、木やりの歌声と氏子の熱気に酔いしれ、「千両、千両」と言って上機嫌だったかもしれない▼諏訪大社の御柱祭は上社里曳きが5日に終わり、本宮と前宮の社殿の四隅に御柱が立てられた。辰野町横川の国有林で育まれた太くて立派なモミの木だ。先月下旬に招かれた辰野町の「伊那御柱」の宴席でも話題に上り、これを機に両地域の交流がもっと深まれば-との声を聞いた。さまざまな場面で末永いお付き合いができればいい▼お隣さんの顔が見えにくい今の社会で、祭りは普段あまり意識しない地域の絆を再確認する場にもなっている。東日本大震災後、早くから被災地で祭りの復活に向けた動きが始まったのも、その表れだろう▼初めて見た県外の観光客は小紙に「みんなが力を合わせるところが素晴らしい」と感想を寄せ、氏子は「みんなが心を一つにして思いを共にするところが醍醐味」。「みんな」の一体感が魅力と改めて思う。

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