地震への備え 加速させたい住宅耐震化

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被災地の状況が映像で写し出される度に、住宅耐震化の大切さを改めて思い知らされる。「熊本地震」では、全半壊を含め被害を受けた住宅は4万4500棟余りに達した。活断層による内陸直下型地震は日本のどこでも起きる可能性があり、海溝型地震がいつ襲ってこないとも限らない。大きな揺れから人命や財産を守るためにも、住宅など建築物の耐震化は喫緊の課題だ。

熊本地震では、現行の耐震基準を満たしていない1981年以前の住宅に被害が集中した。犠牲者の多くが倒壊した家屋の下敷きとなり、命を落としている。

95年の阪神・淡路大震災では、死亡者の8割超が旧耐震基準で建てられた家屋の倒壊などで犠牲となったことで知られる。政府は大震災を機に補助制度を設けて古い建築物の耐震化に取り組んでいるが、熊本地震を見る限り、その教訓が生かされたとは言い難い。

県内の状況はどうか。2013年時点の住宅耐震化率は77・5%と全国平均の82%を4・5ポイント下回っている。15年度までに耐震化率を90%に引き上げるとした目標にも遠く及ばなかった。県は今年度からスタートさせた「耐震改修促進計画(第II期)」で、5年後の20年度までに耐震化率90%達成を再び目標に据えた。

耐震化を阻んでいるのは、工事費用の自己負担額が大きいことに加え、高齢で跡継ぎがなく改修に踏み切れないという切実な事情が背景にある。県と市町村などが連携し、旧耐震基準で建てられた住宅の耐震診断(無料)や工事費用を助成するなどの支援を行っているが、思うように進んでいない。

県内には旧耐震基準の住宅が、まだ約18万戸あると推定されている。なぜ耐震改修が遅れているのか。県は第I期計画で目標を達成できなかった原因を分析した上で、改修に要する工事費用の助成額を増やしたり、新たな支援制度を創設するなどして、耐震化のスピードアップを図るべきだ。

防災拠点となる自治体庁舎の耐震化も遅れている。総務省消防庁が調べた昨年3月時点の県内の耐震化率は77・6%にとどまった。災害時の避難場所となる公共施設を優先するのは全国的に同じ傾向にあるとはいえ、熊本地震では宇土市役所の本庁舎が倒壊する危険が高まり、機能不全に陥った。

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