2018年6月29日付

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耳にいくつもピアスを付けた金髪の若者が電車の優先席に座っている。顔をしかめる人がいるかもしれないが、実は、若者は生まれつきの障がいで両足に義足を付けているのかもしれない。見た目では分からない障がいや不自由は内臓疾患、聴覚障がい、人工関節、妊娠初期などさまざまだ▼外見からは分からなくても手助けや配慮を必要としていることを周囲に知らせる「ヘルプマーク」の配布を来月2日から、県内市町村の福祉担当窓口などで始めると県が発表した▼ヘルプマークは2012年に東京で始まった取り組みで、赤地に白の十字とハートがあしらわれている。諏訪地域では先行して5月から同様の趣旨の「ヘルプカード」が配布されている▼電車で席を譲るよう頼むのはエネルギーがいるが、マークの意味を知っている人が声を掛けてくれたらすごく助かる―県の発表の際、先天性心疾患を持ち、マーク普及の活動をしている松本市の猪又竜さんが語った。スーパーで優先スペースに駐車すると「健康そうなので白い目で見られがち」という▼ヘルプマークそのものの普及も大切だが、大切なのは見えない障がいがあることへの想像力を誰もが持つことだ。とはいえ、年を重ねるほど、経験から体に染みついた「常識」にとらわれて、未知への想像力を失いがちなのが人間でもある。むしろ、自分の想像力の限界を自覚して、謙虚で寛容でありたい。

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