若い世代目を向けて 「戦場カメラマン」復刻

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「戦場カメラマン」の復刻について語る石川文洋さん

長年にわたりベトナムやカンボジアなどの戦争を最前線で取材した、報道カメラマン石川文洋さん(80)=諏訪市尾玉町=の著書「戦場カメラマン」が、筑摩書房から刊行された。30余年前に朝日文庫で発刊、絶版となっていた「戦争報道の歴史的名著」の復刻。著者は「若い世代の多くは知らない世界だと思う。当時に目を向けてもらう手掛かりとなり、どう生きてきたかが少しでも伝われば」と話している。

石川さんは沖縄県那覇市に生まれた。1964年26歳の時に毎日映画社を辞め、世界一周無銭旅行に出発。最初に香港に上陸、そこからベトナムに行ったことが、その後の人生を大きく変えた。

間もなくフリーカメラマンとして南ベトナムへ移住。アメリカ、サイゴン政府軍に同行し、民間カメラマンとして世界で初めて南と北のベトナムの戦場へ行った。頬を銃弾がかすめ、5分前に降りた小型四輪駆動車が地雷を踏んで木っ端みじんになるなど、寸前のところで命拾いしながら膨大な記録を収集。日常は人間味あふれる兵士も、いざ戦闘になると人が変わる「戦争の実態」を目の当たりにし、複雑な心境で取材を重ねた。

同国に4年余滞在し、「日本で唯一地上戦が行われた沖縄と、砲弾が響くベトナム、また中国文化が根付く古里とベトナムをいつも重ね合わせていた」という。

著書は文庫判992ページ(本体2200円)に及ぶ戦争ドキュメント。「世界無銭旅行への出発」にはじまり、「南ベトナム政府軍海兵大隊従軍記」「ベトナムの韓国軍」「カンボジア大虐殺」、日本人の同僚や帰らぬ仲間について語った「戦場のカメラマンたち」など15章で構成。原稿は全てが取材時に書いたもので、「今読み返しても当時と現在の気持ち、考え方が少しも変わっていない」と、そのまま手を加えずに収録している。

69年にベトナムから帰国した際、朝日新聞社と縁ができ15年間勤務し、46歳からフリーとなった。20年前、ベトナム・ホーチミン市の戦争証跡博物館に「石川文洋ベトナム報道35年 戦争と平和」の常設室が設けられ、展示写真、資料は「ベトナムの財産」として広く世界に発信されている。

石川さんは「現況の出版界において再版を判断されたこと、大変ありがたく思う」と感謝。7月9日には、北海道宗谷岬から沖縄まで「平和を願う日本縦断3500キロの旅」に出る。

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