2018年6月30日付

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舞台発表の開演前後に下りる緞帳は、演じ手が主役のステージ上では”脇役”だが、デザイン性が高く存在感を放つ逸品もある。優れた美術作品として鑑賞することができる▼国登録有形文化財の諏訪市文化センターの緞帳は、東山魁夷氏の作品「清暁」と杉山寧氏の「昇る陽」の2帳ある。共に現代日本画を代表する巨匠が原画を描いたというぜいたくさだ。東山氏の作品は県木シラカバの芽吹きなどで春の情景が描かれている。杉山氏は、太陽やその光、雲、連山などを配した▼京都の織物会社に依頼したという緞帳は一目一目が細かく、精巧さには目を見張る。同センターは旧東洋バルヴ前身の北澤工業の福利厚生施設として1962年の建設。2人の画伯と親交があり、旧東バルを創業した実業家北澤國男氏の依頼で制作された▼印象深い緞帳がある。辰野町民会館ホールの一品だ。町のシンボル「ゲンジボタル」や町の木「シダレグリ」、町の花「フクジュソウ」などが描かれている。日展審査員を務めた故寺石正作氏がデザインした。深みのある青色を基調とし夜の雰囲気が漂う中、蛍が舞い、フクジュソウが咲き誇る。見た人から「引き込まれる」との評価もあるという▼いずれも成人式などではステージに下ろされているが、日頃の発表ではあまり使われていないようだ。文化資産と言ってもいい緞帳。埋もらせず、名脇役として活用したい。

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