2018年07月01日付

LINEで送る
Pocket

近頃よく耳にする「AI」(人工知能)。感性や情緒といった人間らしさの分野に挑んで開発が進む。俳句を詠み服を選んで提案するセンスはもはや人のそれと区別がつかず、舌を巻く▼企業の雇用面接や人事査定でも導入の試みがあるそうだ。私見が交じらない公平性が評価されている。仕事の適性や能力を数字だけで測れるものか―とアナログ世代は抵抗したいが、若者には難なく受け入れられるかもしれない▼ゲーム機での遊びが主流の昨今。仮想世界とはいえ毎日会話し、時に悩みを語る人間関係がある。顔も名も知らないが年齢、立場にこだわらないから現実より平等な社会といえる。嫌なら回線を切ればよく、人情の機微に触れない気軽な付き合いになじんでいる▼機械が発達するにつれて人間らしさとは何か、それが必要なのかが分かりづらくなってきた。機械を過信する危うさもみられる。こんな話がある。高齢ドライバーが最新の車で追突事故を起こした。「前の車を検知して自動で止まってくれる車を買ったのでブレーキを踏まなかった」そうだ▼優秀であってもやはり道具。使う者次第で人を助け、凶器にもなる。年を取るほど有能な機械に頼りたいが、操るための理解がおぼつかない。最近は人の理性の低下を疑うような事件も相次いでいる。さてこのギャップをどう埋めてゆくか。まだまだ生身の力量が求められると自覚したい。

おすすめ情報

PAGE TOP