2016年05月14日付

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プロ野球の1点差の行き詰まる一戦は最終回。2死2塁から、次打者の打球は二遊間を抜ける。2塁走者は一気に本塁へ。中堅手からの送球が捕手のミットに収まる。本塁上のクロスプレー。アウトかセーフか。固唾を飲んで審判のジャッジに注目し、コールに一喜一憂する▼今シーズンは、これで終わらない。ほとんどが、ビデオ検証に入る。危険防止のため、捕手はブロックと走路妨害行為、走者は危険な体当たりをそれぞれ禁止する衝突ルールが採用されたためだ。審判のジャッジに相手チームが抗議し、判定が覆ることもたびたびある▼その都度プレーが中断され、選手や観客はじりじりとした時間を過ごす。判定が変われば一番近い場所にいた主審の権威はどうなるのだろう。だったら、本塁上のプレーは最初から審判が判定せずにビデオを見て決めればいい、とすら思ってしまう▼パリーグ審判員だった二出川延明さんは、1959年7月19日の毎日対西鉄戦で、アウト、セーフのジャッジを巡り「俺がルールブックだ」と述べて西鉄の三原脩監督の抗議を退けたという。審判の権威を世に知らしめたエピソードである▼大けがにつながる危険なプレーに対しては、罰則があってもいい。だが、それは審判の判断に委ねるべきだと思う。衝突ルールは、現時点で適用基準が曖昧に見える。野球本来のスリリングな楽しみを奪う気がしてならない。

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