2018年7月8日付

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高齢者の交通安全をテーマにした講演会を聞いていて、「空白の50年」という言葉を初めて知った。20歳前後で運転免許を取った後、70歳の高齢者講習まで、およそ半世紀。本格的な運転の指導を受ける機会がないことを指す▼運転学習の場がない空白の期間は、実は恐ろしい。自分に都合のいい自己流の運転や、勝手な道路交通法の解釈を招く。最近は認知症や身体機能の低下に伴う高齢ドライバーの交通事故が頻繁に取り上げられる。けれど、講師は「こちらの方がよほど大きな問題」と指摘していた▼考えてみれば、決して高齢者に限った話ではない。黄信号は「早く進め」と解釈し、交差点に車を乗り入れる。一時停止は車を停車させるのが目的で、安全確認は二の次―。自分本位の運転はベテランドライバーなら誰でも陥る危険があると言っていい▼強引な車のハンドル操作や、禁止されている携帯電話を使いながらの運転などは、かなり日常的に出合う光景でもある。人間とは長年の慣れや甘えに翻弄されがちなもの、と考えるなら、運転指導の「空白」を埋める対策として、ドライバー自らによる取り組みが必要になってくるだろう▼思いつくのは、家族や友人らが同乗する際、積極的に助言や意見を求めることではないか。助手席からの運転への忠告は決して心地良くはないけれど、良薬は口に苦し。慣れ切った運転を見直す機会になる。

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