高遠の実学に触れる 北原読書楼で内覧説明会

LINEで送る
Pocket

北原読書楼の説明をする北原さん(左)

伊那市高遠町に現存する江戸時代の武家屋敷を使用した私塾の学問所「北原読書楼」の内覧説明会が7日、現地で行われた。地域住民や地元の歴史研究家など約30人が訪れ、武家屋敷の様式を見ながら、高遠藩校「進徳館」の流れをくむ”高遠の実学”の歴史に触れた。

読書楼は、旧高遠藩士で進徳館の師範代も務めていた北原安定(節堂)が廃藩置県による進徳館の閉校に伴い、自宅を使って1875(明治8)年に開塾。漢籍、経書、西洋史、国史などの講義を行っていた。伊澤修二の弟で後に台湾総督や東京市長を務めた政治家の伊澤多喜男、浅田飴創業者の堀内伊太郎、東京銀行の前身の横浜正金銀行頭取や初代横浜商工会議所会頭などを務めた小野光景らを輩出した。

建物は木造一部2階建てで、多少改築はされているものの、表座敷や次の間、茶室、地面に触れなくてもかごに乗れる寄付のある玄関、刀掛けなど武家屋敷の様式を色濃く残す。現在は安定のやしゃごにあたる北原俊史さん(66)=東京都目黒区=が建物を所有。昨年8月に俊史さんが市に建物の学術調査を依頼。江戸時代中期の建造だと分かり、地域の人たちに歴史的価値を知ってほしいと初めて一般公開した。

説明会では俊史さんが幼少期に過ごした思い出を語りながら、塾生が学問を重ねたであろう次の間や今も残されている登城かごなどを解説。「城下町高遠でも中級武士の屋敷が残っているのはここだけ。地域の財産を地元の人に知ってほしかった。後世まで建物を残し、地域の文化振興に利用してほしい」と期待した。

見学した地元、旭町の田中孝雄町内会長(68)は「建物があることは知っていたが、内部に入るのは初めて。まさに高遠の宝。地域の力を合わせて保存活動をしていきたい」と話した。

おすすめ情報

PAGE TOP