2016年05月17日付

LINEで送る
Pocket

「ハッチョウトンボ、今、確認しました」。今年の第一報は5月15日の朝届いた。すぐに生息地がある駒ケ根市の南割公園に向かい、木道から目を凝らしてみた。薄茶色をした小さなトンボがスギナの先で羽を休めているのが分かった。まだ体の色が若かった▼現地で保護観察活動をしているハッチョウトンボを育む会の会員によると、色の変わり具合から羽化後1日ぐらいの個体らしい。そろそろ発生するのではないかと数日前から気にしていて、14日にも朝夕2回、池の周りを探して歩いたのだが分からなかった▼世界で最も小さなトンボの部類に入るハッチョウトンボは体長約2センチ。ちょうど1円玉ぐらいの大きさだ。成熟してくれば雄は真っ赤に、雌はトラまだら模様になって目立つ。だが、淡い色のうちは、目が慣れてこないとなかなか見つけられない▼トンボは環境をみる指標の一つといわれる。公園の生息地では近年、発生数が減少傾向にあり、今年も出てきてくれるだろうか…と少し心配していた。スギナの頭に、いつもと同じ大きさのトンボが、いつもと同じ色で、いつもの年のように止まっているのが見えて安心した▼すさまじい速度で物事が変わる社会で暮らしていると、毎年のことが変わらず、普通にやってくることのありがたさを忘れがちだ。意識を自然の速度に戻してみれば、穂先を揺らし麦畑が黄色くなってきたことにも気付く。

おすすめ情報

PAGE TOP