「芽の元」初確認 美ケ原のアツモリソウ

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さやの採取を前にデータを取る上伊那農業高校の生徒や教諭=6日、美ケ原高原※画像の一部を加工しています

美ケ原高原に自生する絶滅危惧種アツモリソウ(ラン科)の保護回復事業に参画する上伊那農業高校(南箕輪村)は6日、人工授粉を経て高原の自生地で昨夏に採取した種を校内で無菌培養してきたところ、数個に「芽の元」となる細胞の塊・プロトコームが形成されたことを明らかにした。県の認定を受け、2016年度に美ケ原の活動を始めてから初確認。形成数はわずかながら「第一段階の目標」に到達し、今後の活動に弾みがつきそうだ。

活動するのは同校バイテク班と植物科学コースの生徒たち。同班顧問の有賀美保子教諭(42)によると、自生地では昨夏4株の開花を確認。人工授粉によって3株に種ができ、うち1株のさやを持ち帰って校内・無菌室内で培地瓶に種をまく作業をした。

プロトコームは白っぽい色の細胞の塊。芽が出た状態ではないが、ラン科では発芽に近い意味を持つという。確実に形成されたのは2~3個で現時点の直径は1ミリにも満たない。5ミリほどまで順調に肥大すれば、別の培地に移し替えて生育を促すという。

同校は10年以上前から無菌培養研究を進めており、その実績も評価され、県から美ケ原個体群の保護回復事業認定を受けた。「一昨年より昨年の方が種の数が多く、状態も良かった。形成は大きな一歩です」と有賀教諭。バイテク班班長の草間楓さん(17)=3年=は「プロトコームが形成されないと何も始まってこない。数は少ないが、できてほっとしている」と話した。

生徒たちは6日、松本、上田、長和の3市町にまたがる高原を訪れ、今年6月に人工授粉をした8株のうち7株が結実したことを確認。はさみを使って学校に持ち帰る2株のさやを慎重に採取した。7日に無菌播種を行う。

今年は花粉を他の花の柱頭につける「他家授粉」が初めて実現。過去2年より「さやの膨らみもいい」という。同班の久保田栞莉さん(17)=同=は「多くのプロトコームが形成され、発芽から苗の作出という次の目標へ近づきたい」と意欲を新たにした。

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