2018年8月9日付

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人が4~5人集まれば必ずその中に「情報通」がいる。昔からそうだと思うが、今の情報通は「スマホ使い」だ。「雨雲が近づいてくるよ」、「電車の時間はこうだよ」。スマートフォンを素早く操作し教えてくれる。こういう習慣は地震や豪雨災害の「リスク管理」に役立つのだろう▼このリスクという言葉、昔はあまり聞かなかったように思う。今は自然災害もビジネスも人間関係も、リスク管理が大はやりだ。起きるかどうか分からない災難に備えるのは難しい▼科学技術が発達し、社会が近代化するほどリスクや不安が大きくなる、という「逆説」を聞いた。社会がある程度豊かになると人は新たなモノを得るよりも、それを失うことを恐れるようになる。社会の関心はその「リスク制御」に移行していく。千葉大学教授の神里達博さんが指摘する(「學鐙」夏号・丸善出版)▼豊かさや安定と、失うことへの恐怖は裏表だ。そのリスクをどう管理するかは私たち個人にも委ねられる。神里教授は言う。科学技術が発展し、民主主義が拡大すればするほど「自由や責任と一緒に、リスクが私たちのところに降りてくる」▼情報に聡い人はリスクを制御できるかもしれない。疎い人はできないかもしれない。だから人は不安になり、スマホにかじりつく。リスク管理も個人の自己責任になるならば、私たちは難しい時代に生きているのだと、つくづく思う。

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