2018年08月10日付

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「なんだこれは!」。岡本太郎は縄文土器を目にしたとき、感嘆の声を上げた。東京国立博物館の一室に、それは考古学の遺物として陳列されていたという。奔放な想像力に恵まれた芸術家は、縄文力の高さを一目で見抜いたのだろう▼信濃川火焔街道連携協議会のホームページに掲載されている石井匠さん(京都造形芸術大非常勤講師)のコラムを参考にした。協議会は信濃川流域の5市1町で構成し、岡本太郎も魅了された火焔土器に象徴される「縄文」をキーワードに交流・連携を図っている▼立体的な文様が燃え上がる炎のように見える火焔型土器をはじめ縄文の国宝6点が東京国立博物館に勢ぞろいし、話題を集めている。縄文の美と造形にスポットを当てた特別展で、土器や土偶、石器や装身具など全国各地から集められた展示物の目玉なのだという▼「縄文王国」と呼ばれる茅野市出土の「縄文のビーナス」と「仮面の女神」の国宝土偶2体も存在感は十分だろう。「日本のへそ土偶 縄文の母ほっこり」のユニークな愛称を持つ県宝の「仮面土偶」(辰野美術館所蔵)など長野県からの出品数は20点余を数える▼石井さんによると、つい50年前まで日本美術史に縄文は存在しなかった。縄文の美を再発見したのは天才芸術家その人だという。「1万年の美の鼓動」と銘打たれた同博物館の展示は9月2日まで。驚きの出会いがあるかもしれない。

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