終戦後の墨塗り掛図 伊那市創造館で初公開

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墨で塗られた部分について説明する学芸員

伊那市創造館は、終戦後の小学校の地理教材として、戦前・戦中に制作された絵図の一部を墨で塗りつぶして使用したとみられる「墨塗り掛図」を発見し、同館での企画展で初公開している。日本の領土範囲など時代にそぐわない不適切な部分を教員の判断で塗り活用したとされ、同館は「非常に珍しい。教材不足の中、正しい知識を伝えようとする教員の熱意が伝わってくる」と評している。

中国大陸を表した図では、「志那」の文字を墨塗りし、「中国」へと書き換えてある。台湾と日本とを墨塗りしてあり、日本の領土だった朝鮮半島や台湾を戦中は日本と同じ色で示していた形跡がうかがえる。パラオなど南洋諸島を紹介する図では、戦中に現地を統括していた日本の執政機関も黒く塗られている。

黒塗り部分が見つかったのは、10枚以上の絵図をセットにした掛図3点の中の絵図計4枚。いずれも伊那市高遠町にあった旧河南小学校で使用され、廃校後に市立高遠町歴史博物館で保管されていた。企画展開催に向け、掛図を調べていたところ、7月に墨塗り部分があるのを発見した。

同館によると、児童生徒分が用意されていた教科書に比べ、掛図は学校に一式あった程度といい、「墨塗り掛図が残存するのは非常に珍しく、聞いたことがない」という。

同館の濵慎一学芸員は「墨塗り掛図がほかにあれば、ぜひ教えてもらいたい。それによって戦中・戦後の教育の研究も進んでいくのではないか」と話している。掛図は、来年1月31日までの企画展で展示されている。

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