2018年08月30日付

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閉校した校舎の廊下奥から弾んだ声。扉を開くと室内に積み木やこま、ゴム鉄砲など手作りのおもちゃがぎっしりと並ぶ。その中でお父さんたちが目を輝かせて製作談議に花を咲かせていた▼おもちゃ作りを始めたのは富士見町境の赤坂行男さん(66)。石油会社の研究室を退職後、町へ移住し子どもら地域の人に科学の面白さを教えるボランティアをしている。「おもちゃは科学への導入口」という▼きっかけは研究員時代、若手の教育にあたり「本やネットから集めた情報だけに頼って可能か否かを判断してしまう若者が多いと感じた」こと。科学の基本はまず考え、実際に試して結果を積み上げる手法をたどるが、その原点が損なわれそうな危機感を覚え、幼児期から自ら取り組む体験が必要だと考えた▼その思いに地元の同世代が力を寄せた。子どもの頃の経験を発揮し、竹を切り出したり、車輪を再利用したりと身の回りの素材を生かす知恵も豊かだ。「どうしたら実現できるか」との前向き発想で次々に新しいおもちゃを生んでゆく▼「できない理由を積み上げた論理からは何も生まれません」と赤坂さん。その言にわが身を省みれば、多忙さを言い訳にして不毛のままやり過ごしてしまう事が何と多いか。日進月歩の科学にならえば、あと一歩の意欲、頑張りが新しい発見や転機を開くのだろう。人生に実りを得るにも科学の手法が要らしい。

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