2018年09月08日付

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さすがに暑さがやわらいできた。コスモスの花があちこちで揺れている。秋の花は美しいのだが、見ていると、何かもの寂しくなる。季節が冬へ向かうことを知っているからだろうか▼諏訪二葉高校(諏訪市)などで美術教師を勤めた洋画家の宮芳平は、多くの詩を残している。こんな一節があった。「美しいということは/どこか哀しみを含んでいるものだと思います/今細い茎でコスモスが揺れています/(略)/揺れ悩むコスモスは/咲き誇るコスモスより美しいです」▼宮は教師としての仕事を持ちながら地方在住の画家として生涯を貫いた。森鴎外の小説「天寵」のモデルにもなった。若い頃は経済状況や作品作りに悩むことも多かったようだ。揺れるコスモスに、苦悩する自分の姿を重ね合わせたのだろう▼高校生の祭典、全国高校総合文化祭(総文祭)が先月、県内各地で開かれた。全国から集まった高校生に、記念品として配ったのが「シードペーパー」だ。古紙などに県産の花の種をすき込んだもので、水に浸してから土に埋めると花が咲く。種の中にはキバナコスモスもあった▼全国へ持ち帰られたキバナコスモスは、開花しただろうか。宮芳平は「花は一番よく時節を知っている/自分が咲かなければならない時にちゃんと咲く」とも書いている。総文祭で一段と成長した高校生たちはもっと「大きな花」をこれから咲かせることだろう。

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