「岡谷製糸王国」紹介 編集者の市川さん刊行

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市川さんの著書「岡谷製糸王国記-信州の寒村に起きた奇跡」の刊行を紹介する宮坂さん(左)ら

編集者・ライターの市川一雄さん(83)=下諏訪町緑町=が、「岡谷製糸王国記-信州の寒村に起きた奇跡」(あざみ書房)を刊行した。諏訪湖のほとりの小さな村だった岡谷が、日本の近代化を支える製糸業の一大集積地になった経緯や、発展を支えた人物たちの群像、生産の主役となった工女たちの実像などを、膨大な資料を基に一冊にまとめた労作。発刊に協力した関係者は、「これを読めば、何もない村に起きた奇跡が分かる」と激賞している。

体調を崩している著者に代わって26日、市川さんの友人で題字を揮ごうした書家の渡部清さん(83)=東京都=、信州風樹文庫ふうじゅの会副会長の鮎澤宏威さん(77)=諏訪市中洲=、岡谷市文化財保護審議会委員などを務める宮坂正博さん(69)=岡谷市大栄町=の3人が岡谷市役所に今井竜五市長を訪ね、著書を寄贈、刊行を発表した。

同書は序章を含め4章構成。「スタートから先頭に立つ-明治・諏訪人の智恵と勉励」の第1章から、「糸価絶頂-古き良き時代・大正」の第2章、「激動の昭和-世界大恐慌と戦争と」の第3章から成る。

市川さんが寄せたメッセージによると、最大の特徴は、「『工女ファースト』が製糸の実像であることを明らかにしたこと」。生糸生産の主役である工女に良い糸を取ってもらわなくてはやっていけない製糸家は、精いっぱいの工女優遇に努めたことを、監督日誌などから実証的に記述した。糸取りに適性のない工女にはつらい職場だったが、大多数の工女は能力に応じて稼ぎ、青春を生きたことも工女談話などから掘り起こしたという。

さらに、「製糸王国岡谷を作り上げた諏訪式経営の確立など製糸家の知恵と工女の努力、民俗誌や小説、短歌、俳句も引用して糸都岡谷の諸相を多面的に描こうと努めた」「煮繭工の話などから製糸技術の奥深さにも触れた」としている。

市川さんのメッセージと共に刊行を発表した宮坂さんは、「当時のこと、製糸業を知っている人がいなくなっていく中で、岡谷の製糸文化を語っていく上で最良の書」と絶賛。膨大な資料と取材から「さまざまなエピソードを織り交ぜて岡谷の奇跡を描き、とてつもなく中身が濃い」と話している。

同書はB6判349ページ。600部発行し、岡谷市の笠原書店、岡谷蚕糸博物館で販売している。

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