神子柴遺跡の謎に迫る 発掘60年記念シンポ

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神子柴遺跡に関するさまざまな研究成果の報告が行われているシンポジウム

国重要文化財「神子柴遺跡出土石器群」が出土した神子柴遺跡(南箕輪村)の発掘から60年を迎えたのを記念するシンポジウム(八ケ岳旧石器研究グループ、上伊那考古学会など主催)が29日、2日間の日程で、伊那市創造館で始まった。初日は研究者4人が、石器材質や石器製作技術などをテーマに研究してきた成果を報告。聴講した県内外の考古学者や愛好家らに、遺跡のさまざまな謎に迫る切り口を提示した。

約1万5000年前の遺跡とされ、1958年から3回の発掘調査で出土した石器全87点の大半が精巧に作られている。石器が実用品か否かといった機能性をはじめ、旧石器時代の遺跡か縄文時代かといった時代的位置付け、住居説や祭祀場説などさまざまな説が唱えられる遺跡の性格などの面で、論争が繰り広げられている。

基調報告で、明治大学黒耀石研究センターの栗島義明さんは、遺跡の性格について「生活領域の異なる人々が、石器群を持ち込み合って、異系統の石材・石器と交換する空間だった」との見解を示した。山形県埋蔵文化財センターの大場正善さんは石器技術学という新たな視点での研究成果を発表した。「優美」とたたえられる槍先形尖頭器の制作技術の復元を試み、製作工程を探ったことを報告。制作者たちの技量について「上級者とは言えてもスペシャリストとまでは言い難い」と評し、「製作技術は生存や社会的な競争の上で必須だったと考える」とした。

2日目の30日は、研究者2人による基調報告後の午前11時30分から一般向けの講演会を開く。東京大学大学院の佐藤宏之教授が「神子柴遺跡はなぜ残されたのか」を演題に講演する。無料。

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