香淳皇后手まきの松 県農試の元職員ら手入れ

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県農業試験場原村試験地のアカマツを手入れする元職員ら

県農業試験場原村試験地のアカマツを手入れする元職員ら

1964年に県内で開かれた全国植樹祭で昭和天皇、香淳皇后が種を手まきされ、その後、県が育苗して記念樹として県内各地に譲渡したアカマツのうちの1本が県農業試験場原村試験地(同村八ツ手)にある。同試験地で稲作栽培改善に取り組んだ故・岡村勝政さん=諏訪市小和田=が50年前に植樹した。試験場の元職員ら5人が25日、剪定(せんてい)や草刈りなどアカマツの手入れを行い、半世紀の時の流れをかみ締めつつ、作業に汗を流した。

岡村さんは1942年から10年間、同試験地に勤務し、村内農家の指導に当たった。一方、水稲の冷害防止を中心とした栽培改善の研究にも没頭し、油紙を苗床にかけて育苗する「保温折衷苗代」技術を確立。寒冷地の米収量を増加させた同技術は原村から全県、全国へと瞬く間に普及し、日本の米穀増収に大きく寄与したとされる。岡村さんは2013年に98歳で他界したが、現在の長野県版の教科書で紹介される業績を残した。

同試験地は保温折衷苗代技術が生まれた地とされ、岡村さんの偉業をたたえた石碑が村民の手で建立されている。関係者は、岡村さんへの敬意の念を込めて試験地を「岡村公園」と呼ぶという。

アカマツは香淳皇后が種まきされたもので、高さ約4メートル、幹の直径約20センチにまで成長。毎年、新芽が生える初夏になると元職員ら有志が集まり、手入れを行っているという。

岡村さんから教えを受け、退官後も親交を深めていたという林弘旦さん(73)=岡谷市川岸=は「今年は半世紀ぶりに全国植樹祭が県内で開催される年で、感慨もひとしお。今後もこの松を大切にしていきたい」と手入れに取り組んでいた。

岡村さんの長男で、元大学教授の岡村昭治さん(72)は「父の背中を見て同じ研究の道を志した。亡くなってなお多くの人に慕われる父のすごさを改めて感じている」と話していた。

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