もしもに備えて 「山岳保険」利用広がる 

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休日になると八ヶ岳登山を楽しもうと全国各地から登山者が集まる。万一に備え、山岳保険への加入が広がる

諏訪地方の貴重な観光資源である一方、遭難事故も後を絶たない八ケ岳―。近年、山岳遭難で発生する救助費用やけがの治療費などを補償する「山岳保険」が充実してきた。保険とともに安全登山の情報発信を行う登山専門サイトや登山用品メーカーの保険など形態はさまざま。山岳遭難では、民間の救助隊が出動すれば多額の救助費用が本人や家族に請求されることもあり、山岳保険の利用が広がっている。

八ケ岳の遭難救助を管轄する茅野署によると、2018年の遭難件数は、12月24日現在、過去最多だった17年の32件と同数で、死者は7人(17年は年間8人死亡)に上る。

同署とともに、八ケ岳の遭難救助に携わる諏訪地区山岳遭難防止対策協会。救助隊員は登山経験豊富な民間人に委嘱し、隊員が遭難救助で出動すれば救助費用を後日、遭難者らに請求する。同協会事務局は、「遭対協は警察からの依頼を受けて出動する。行方不明などで捜索に人数、日数がかかれば数十万円に上るケースもある」とする。

三つの会社が共同運営する保険制度「チーム安全登山」は、登山記録のデータベース共有サイト「ヤマレコ」に会員登録することで加入できる。登山計画書を提出すると補償の範囲が広がる制度を設ける。運営会社の一つ、山の気象情報を手掛ける「ヤマテン」(茅野市)の猪熊隆之社長(48)は、同社の保険について「登山者が主体的に安全登山に取り組むためのもの」と説明する。14年のサイト開設以来、長野県へ遭難対策費の寄付を続ける。

アウトドア用品の「モンベル」(大阪市)も山岳保険に対応する。05年から保険販売をスタートし、22種類のプランをそろえる。加入率は「右肩上がり」だ。山岳保険とは一線を画す、会員制の「日本山岳救助機構会員制度(略称jRO〈ジロー〉)」もある。年会費2000円で救助費用330万円までを補償する。

チーム安全登山の保険運用を担う「やまきふ共済会」(事務局・千葉県)の井関純二代表理事(45)は保険選びのポイントとして「遭難しても補償が出ないケースがある。『出ない部分』を確認してほしい」とアドバイスしている。

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