猿侵入対策で緩衝帯整備 富士見町上蔦木

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除伐し切り開いて整備した富士見町上蔦木区の緩衝帯

富士見町と町有害鳥獣対策協議会、上蔦木区(窪田正利区長)は、ニホンザルの農作物被害を減らすため、集落山際の民有林を幅5メートルにわたって除伐し、猿の侵入を防ぐ緩衝帯を設ける事業に乗り出した。「群れの動きを検証しながら緩衝帯を整備する駆除対策は全国に先駆けた取り組み」(町)で、電気柵の維持管理を容易にし、木を伝った柵の乗り越え防止に期待。山林所有者の町外転出や高齢化で山の手入れが難しくなる中、台風や豪雨による倒木被害の未然対策でもあるという。

国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用し、昨年12月に延べ約400メートルにわたって電気柵沿いの杉、ヒノキ、竹などを伐倒、山と集落の境を切り開いた。

町内では2016年以降、猿による農業被害が被害総額の約6割を占め、年々増えている。特に同区は集落に山が迫る地形のため被害が多い。地元ではかねて電気柵の設置、花火を使った追い払いなど地域を挙げて対策に取り組むが、「急傾斜の林中での作業では木に阻まれて草刈りが十分にできず、柵が漏電することもしばしば。木を伝って簡単に侵入されてしまい、駆除効果が発揮できずにいた」(同区)という。

町は15年から猿に発信機を装着して群れの動きをつかむ調査を続けており、一昨年からは同区をモデル地区に指定して詳細に調査。群れの泊まり場と、集落内にある誘因物(果樹類)の在りかを地図にした「ヒートマップ」を作成したところ、猿の群れが民家隣接の林で電気柵をまたぐようにして複数のねぐらを形成している実態が分かった。

除伐に当たっては区役員が、町外に転出した所有者も探し求めて約20人の全地権者から同意を取り付け、作業を実現させた。

窪田区長と同区電気柵管理委員会は「柵の管理がとてもしやすくなった。ようやく通電効果が出ると思う」と喜んだ。ただ、今回の作業範囲は群れの生息域に対して4分の1程度。区では「駆除の実効にはさらに緩衝帯を延長させる必要がある」とも考える。町は「資金確保の方途を模索し、確実な成果を出したい」としている。

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