故小松道俊医師の原稿と絵で「童話」刊行

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故小松道俊さんが描いた絵と創作した物語を組み合わせて発刊した絵本「コロボックルの笛」と妻の孝子さん、長男の佳道さん、長女の由貴さん(左から)

日常診療と共に山間地出張診療などを続け、地域医療の維持向上に努めた故小松道俊さん(1940~2013年)の物語と絵による、童話「コロボックルの笛」が発刊された。家族が道俊さんの遺品を整理する中で、小人の「コロボックル」が登場する原稿を見つけ、一方で小人の絵を数多く描き残していたことから、物語にふさわしい絵と組み合わせた。草花や星座、ギターにも親しみ、地域の人たちから「諏訪の赤ひげ先生」といわれた道俊医師。「絵本に人柄がにじみ出ている」と反響が届いている。

道俊さんは母校の岩手医科大学で講師を務めていた時、父親の故卓郎さんが他界。「古里の人たちのために」という父親の遺志をためらうことなく継ぎ、40年わたって諏訪市の諏訪豊田診療所長、同市湖南診療所長を務め、西山山間部、父祖の地富士見町栗生の出張診療も継続。諏訪地区小児夜間急病センターの開設や諏訪赤十字看護専門学校の存続活動、地域防災、消防団活動にも尽力した。

「生涯の多くを診療に費やしてきたが、いつの間にか描き残していた」という絵の多くは、居るのか居ないのか誰にも分からない、心安らかな無心の時に見える「コロボックル」がテーマ。メモ紙や画用紙に鉛筆、ペン、エアブラシで水彩、油彩で仕上げ、机の引き出しや本の間に200点ほどあった。

原稿は筆ペンで一気に書いたと思われ、書類に挟まっていた。診療所を継ぐ道俊さんの長男佳道さんは、「書いたときは、物語が父の中で熟成されていたと思う」と推測。絵本の制作は長女の由貴さんが、「読んでいるうちに父が描いた小人が浮かび、その絵を挿絵に一冊の本ができるかもしれない」とひらめいたことだった。

以来、「父だったらこんな感じだろうか」と家族で話し合い、ページごとに絵を当てはめ、専門家や周囲の人たちのアドバイスを受けながら、「楽しく読んでもらう」ことを目指した。コロボックルってどこで生まれ育つのか、笛や月を交えた展開は、「人を愛し自然を愛したロマンチストだった人柄がしのばれる」。

絵本には道俊さんの詩「この道を行けば」と、同詩に作曲家遠藤雅夫さんが作曲した楽譜なども収録した。

学生時代、道俊医師の下で研修した久保卓郎滋賀医科大学医学部付属病院助教は、「絵本を通して『現代社会でも、子どもたちの心や自然豊かな山里などにコロボックルは住んでいる』と言っている」。長年診てもらったという画家の原田泰治さんは、「絵筆を握って癒やされている姿が想像できる。片手間の絵ではない。読み応えがあり、発刊は家族の協力のたまもの」と寄せた。

A4判64ページ。500部発行。問い合わせは諏訪豊田診療所(電話0266・52・1802)へ。

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