2016年06月06日付

LINEで送る
Pocket

空の色といえば青。あまり気にすることもない”常識”である。大昔の人は空自体が青いものだと考えていたらしい。2千年以上前の中国の思想家、荘子の詩に「天之蒼蒼(天のそうそうたる…)」で始まる一節がある▼諏訪市出身で、広島大学の教授などを務めた小尾郊一さんの著書によると詩の意味はこうだ。「地上から空を見あげるとき、空の青青とした色は、果たしてその本来の色なのだろうか。それとも無限に遠いためなのだろうか」(「ことばの花」)▼荘子の鋭い観察眼は、空が青いという常識をそのままにしておけなかったのだろう。現在では空そのものが青いわけではなく、光の散乱で青く見えることが分かっている。今回の熊本の大地震でも、地元住民にとっては「熊本は地震が少ない」が常識だったのかもしれない。九州の自然災害といえば、大雨や台風がまず頭に浮かぶから無理もない▼諏訪や上伊那地方では、地震対策は以前から指摘されていた。しかし近年の大雪被害やゲリラ豪雨などは、昔の常識では考えが及ばない。常識も時代や状況次第で覆ることがある▼小尾さんは荘子の言葉から、「常識を常識としてうのみにするのではなく、真の価値ある常識は何かを追求する」姿勢を学ぶべきだとする。常識にはそれ相応の理由がある。だが、こと自然災害においては過去にとらわれず、いろんな可能性を考えておくことが必要だ。

おすすめ情報

PAGE TOP