「盤上に死を描く」でデビュー 井上ねこさん

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「このミス」受賞のデビュー作を手にする井上ねこさん

昨年の第17回「このミステリーがすごい!」大賞で優秀賞を受賞した岡谷市長地小萩の井上ねこ=本名・賢一=さん(65)の受賞作「盤上に死を描く」が6日、宝島社から文庫新刊として刊行される。出版を前に4日、井上さんが取材に応じ、ミステリー作家デビューの心境や今後の創作への思いを語った。

「このミステリーがすごい!」大賞は、江戸川乱歩賞と並ぶミステリー作家の登竜門。井上さんは同大賞史上、最年長の65歳での受賞でも注目を集めている。

岡谷南高校出身で、中京大学法学部卒。名古屋市内の測量会社に勤務後、2005年に岡谷市に帰郷した。古物商の免許を取ってネット古書店を経営する傍ら、趣味の詰め将棋創作で専門誌の賞を受賞している。

高校時代から将棋とミステリー小説を愛読してきた井上さんが、今回の受賞作のトリックをひらめいたのは12年ほど前。「冒頭とラストができても、途中の展開がうまくいかず」(井上さん)に、「小説を書くための基礎を身につけよう」と、小説現代(講談社)のショートショートコンテストに応募を続け文章力を鍛えてきた。

3年ほど前から約2年間かけて作品を完成。受賞時の「殺戮図式」というタイトルは出版化の過程で「盤上に死を描く」に変わり、原稿用紙約600枚から400枚程度に大幅に削るなど推敲を重ねたという。

名古屋市内で老人を狙った連続殺人事件が起こり、 すべての現場に将棋の駒が残されていたことから、詰め将棋好きの 女性刑事が謎に迫っていく展開だ。同賞審査員からは、「将棋がモチーフ となるミステリーは何作もあるが、こんな作品は本邦初」(書評家の西上心太氏)など高い評価を受けた。

ミステリー作家としては遅咲きのデビュー。「すでに2作のあらすじを出版社に出してある」といい、「『このミス』は懐が深くて、年齢制限無しで受賞できた。同じように定年後に小説を書き始めた人たちにも希望を与えることができたと思う。長く書いていければ」と話していた。

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