加島祥造さんの文庫開設 駒ケ根市立図書館

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加島祥造さんが寄贈した書籍を眺める長男の加嶋裕吾さんと妻の麻里さん

駒ケ根市立図書館は20日、同市に住んで老子の研究を続け、2015年に92歳で死去した文学者で翻訳家、詩人の加島祥造さんが寄贈した書籍を並べた「加島文庫」を開設した。英米文学や東洋思想に関連する本など約3000点。各種分野で多大な功績を残した加島さんの研究の潮流を知ることができる貴重な資料がそろう。

加島さんは東京都神田生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、米国留学を経て1955年から信州大助教授、横浜国立大教授などを歴任した。英米文学では米国の作家ウィリアム・フォークナーの著書「八月の光」など作品100点以上を翻訳した。90年に駒ケ根市へ転居後は伊那谷の心象風景や自然を絵画や詩で表現する芸術活動を続ける一方、老子研究に傾倒し、「老子道徳経」を翻訳した「タオ・ヒア・ナウ」を出版。日本で初めて老子の言葉と思想を現代語自由詩の形で表した。

書籍の寄贈は2010年、本人から同館に対して申し出があり実現。フォークナーの初版本など英米文学の古書、研究の内容や随筆を載せた「晩晴館通信」の現物、漢詩の拓本もある。図書館では2階の小会議室を改装して収蔵。入り口には加島さん本人が「加島文庫」と記した看板を掲げている。

20日に開いたオープニングセレモニーには加島さんの長男・加嶋裕吾さんと妻の麻里さんら11人が出席。裕吾さんは文庫の開設について「父は生前、膨大な量の本を読んで持論を導き出し、数々の作品を世に送った。その歴史が文庫という形で残されることはうれしい」と話した。

加島さんが信大時代の恩師で生前親交が厚かった同館の小川清美館長は「先生の研究がいかにして生まれたかが書棚を見てもらえば分かる。寄贈書籍とは別に先生の作品は図書館で読むことができるので、多くの作品に触れてほしい」と呼び掛けた。

同文庫の書籍は貸し出さない。希望者は事前予約し、書庫内で閲覧する。問い合わせは同市立図書館(電話0265・83・1134)へ。

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