2019年2月26日付

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春を感じる陽気の日もあって、肩に入りっぱなしだった力も幾分緩む。しかし、地域の観光を支えるスキー場ではシーズン半ばだというのに積雪が薄くなり、季節産業の苦労を思わずにいられない▼入笠山山麓の富士見パノラマスキー場にある登はん用氷壁はどうだろうか。今冬、社員が試行錯誤しながら毎晩水をかけ、手作業で築いた。寒波に恵まれず解けては作り直しを重ね、プロにも楽しめる出来になった▼氷壁作りはそもそもリゾート施設の魅力向上と改革を目指すプロジェクト活動から生まれた。かつて50億円もの負債を抱えた町の”お荷物”施設だったが、この春には外部からの借金完済までこぎつけて、守りから攻めに転じる一歩を踏み出した▼初会合での社員の声は悲痛だった。「後ろ指をさされて働くのがつらかった」「長年、改善や工夫のアイデアを抱いていたがとても口に出せなかった」。そんな社員たちに前を向いてほしい―との活動でもある。多様なアイデアがあふれ出る中で、初めて形となったのが氷壁だ▼「自信が持てた」と社員たち。壁は春の訪れとともに跡形もなくなるが、社員が厳しい冬の間、懐で温めてきた種は芽生え、育ち始めている。町民も焼け石に水とも思えた長期の税金投入によく耐えた。第二の船出にあたっては、糟糠の妻のような町民の思いに心を寄せながら、一緒に新たな枝葉を育ててゆけるといい。

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