2019年3月5日付

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3月に入り、東日本大震災に関する報道が増えてきた。11日であの日から8年。被災者に要介護者が増えている、当時の公文書が破棄された―など、年月の経過を感じさせる記事が目に付くようになった。共同通信の調査では、東北にある震災の伝承施設を管理する自治体担当者の6割以上が、来場者減少などで震災の風化を感じていることが分かった▼改めて言うまでもないが、この時期に震災関連の記事が増えるのは、震災の恐怖やいまだ続く被災地の苦労を教訓として忘れず、防災や災害対応の機運を醸成する狙いがある。復興の様子を定点観測することで、新たな課題が見えることもある▼つらい思いをした人こそ、風化(忘却)を願っていたりする―。インターネットのツイッターで目にした書き込みだ。別のサイトでは、人は「忘れてはいけない」というが、悲惨なできごとを忘れないと明日へ向かって生きていけないんです―という被災者の言葉を見つけた▼心的外傷後ストレス障害(PTSD)に代表される心理反応や精神疾患が阪神大震災から注目されるようになり、支援策の充実が図られてきた。ただ心の傷の深さや回復の速さは人それぞれ。こうした人たちの存在こそ、忘れてはならないだろう▼南海トラフなど、大規模地震発生の可能性は日ごとに高まっている。風化の是非に思いを巡らせつつ、危機管理について考える機会にしたい。

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