2019年03月09日付

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何万人もの観衆が一球に視線を集中し、選手の好プレーや得点場面に歓声を上げる。小説家の小川洋子さんは、喜びを共有し合っているファンのうれしそうな姿を見るにつけ、〈人間へのいとおしい気持ち〉が込み上げてくるという▼プロ野球阪神タイガースの大ファンで、甲子園球場での観戦記をエッセーにも書いている。勝てばうれしいし、負ければ悲しい。なんとも単純ではあるが、ひいきのチームが勝つだけで幸せな気分になれる―と力説している(「犬のしっぽを撫でながら」集英社)▼プロ野球に限るまい。サッカーJリーグの応援も熱狂的だ。スタンドをチームカラーの緑に染め上げ、選手たちに割れんばかりの声援を送っている松本山雅FCのサポーターの熱量はテレビ画面を通しても伝わってくる。どれほど選手たちの力になっていることか▼4年ぶりにJ1に参戦した山雅への声援は、一段とボルテージを上げるに違いない。今季初勝利を挙げた先週の第2節でも、敵地大分でのゲームながら多くのファンが信州から駆け付けたという。そしてきょう、ホーム開幕戦を迎える。競技場は熱く燃えるだろう▼〈これだけ大勢の人々が、一つの幸福に包まれる場面は、他にそうあるものではない〉。小川さんはスポーツ観戦の魅力をこう記している。最高峰の舞台で山雅はどんな戦いを見せてくれるだろう。幸福をたくさん分かち合えるといい。

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