諏訪地方市町村議選 「なり手不足」打開は…上

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諏訪6市町村議員の年代別構成

統一地方選後半戦の市町村議選告示まであと1カ月余り。最も身近な政治の場でありながら、全国各地の地方議会では議員の「なり手不足」が指摘されている。諏訪6市町村議会でも多くの現職議員が危機感を募らせるが、有効な打開策を見いだせないまま、投票率の下落傾向が続いている。6市町村議選の現状を取材し、議会や議員の在り様について考えた。

6市町村議選は8日現在、各市町村とも立候補予定者が定数に達していない。全体的に低調な動きで推移しており、顔ぶれを見極めて決断する「様子見」との見方もあるが、議員の「なり手不足」を指摘する声も出ている。

過去5回の選挙で立候補者が定数と同じ「無投票」があった議会は、諏訪市と茅野市を除く4市町村。岡谷市が1回(03年)、下諏訪町が3回(99、03、11年)、富士見町が1回(11年)、原村が3回(99、07、11年)だった。

6市町村議会の年代別構成をみると、60代と70代で全体の8割近くを占める。女性議員は15・7%にとどまる。現役世代が圧倒的に少ない理由の一つには、現職議員から「報酬の少なさ」を指摘する声がある。月額の議員報酬は35万3000円の岡谷市が最も高く、原村の18万3000円が最も少ない。

高齢の議員が多い背景には、区長を経験するなど地域の実情や課題、人間関係に精通している年配者が「地域の代表」として擁立される傾向がある。他方で「報酬の範囲内で生活できる世代だから」という側面もある。後継者の確保に奔走する引退予定の議員は、「報酬が低いため、現役世代や子育て世代は議員になれないし、(私も)推せない」と打ち明ける。

1期目のある議員は「議会活動に魅力を感じてもらうには政策立案能力を高める必要がある。議員と本業の二足のわらじでは難しい」と語り、議員の資質向上には「子育て世代が生活できるだけの報酬が必要だ」と強調する。

議員報酬の検討は、岡谷市や諏訪市、茅野市などで行われたが、今期の4年間で報酬を改定した議会はない。ただし、諏訪市議会は昨年12月、議員提案で可決、成立した議会基本条例で、議員報酬について「多様な人材が議員として活動できる環境整備の観点も踏まえ、市政の現状及び課題並びに将来の展望を考慮して定める」と明記した。

6市町村の一部事務組合「諏訪広域公立大学事務組合」の発足など議員の活動範囲は増えている。諏訪市議会の金子喜彦議長は「二元代表制の一方を担う議員として(報酬を)増やしてもよいのでは」と話す。「議員になりたいと感じさせる活動も必要だ」とも語り、目に見える形で地域社会の改善が実感できる議会活動や地方自治の実現を訴えた。

「議員不足は議会への期待が薄れているからで、報酬は関係ない」という意見もある。「市民総参加のまちづくり」が進み、市民や行政区の要望を首長や行政が直接聞く仕組みと機会が確立され、議会の存在感が薄れているとの指摘だ。しかし、予算や条例の決定権や行政を監視する強い権能が認められている議会の役割は変わっていない。

市民からは報酬に限らず、定数や通年議会、夜間・休日議会など議会の在り方そのものの論議を促す声もある。安定的な行財政運営から市民が問題意識を抱きにくい状況にあり、政治に対する関心の低さにつながっているとの見方も。「まち全体を見通して物事を考えるような政治家気質の人材が育っていない」と嘆く人もいる。

議員のなり手不足に即効性のある打開策は見いだせない。ある議長経験者は「まちづくりの活動に参加し、地域や行政の現状に問題意識を持つことで、議員になって解決したいと思える人が出てくる。自分のまちは自分でつくる意識が必要で、人づくりに近道はない」と語り、市民活動の活性化を呼び掛けた。

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