今年度末で退任 中島恵理副知事に聞く

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インタビューに応じた中島副知事=富士見森のオフィス(富士見町)

今年度末で退任する長野県の中島恵理副知事(46)=富士見町=が長野日報社のインタビューに応じた。副知事を務めた4年間を「森林の魅力を知る県民の一人として、また、子育て中の母親としての視点を生かしながら取り組んだ」と振り返った。4月からは環境省に戻る。「長野県で働いた経験を生かし、中山間地の課題を知る代弁者として、政策立案にかかわっていきたい」と抱負を述べた。

―副知事を務める中で感じた長野県の魅力とは。

長野県の約8割は森林が占めています。森林は単に木材などを供給するだけでなく、土砂災害を防ぎ、清らかな水や空気を育みます。森の中で遊び、学んだ経験はその後の人生の大きな糧となるでしょう。免疫力の向上、さらに精神的な部分でも人を元気にさせます。観光面でも大自然は人を引き付けます。北欧視察では木からプラスチック製品と同等の代替品や薬などを作り出す最先端の科学技術を見ました。県内でも間伐材の多様な流通システムが動き始めています。森林には大きなポテンシャルがあると思います。生かしきれていない部分は施策で下支えし、森林の可能性を長野県から全国に発信できればいいですね。森林と市民との距離はまだまだ遠いように感じています。森の中で遊び、学べる仕組みがもっと必要ではないでしょうか。

―諏訪地方での思い出は。

「諏訪湖創生ビジョン」の策定に向けた会議で座長を務めました。多くの方と意見を交わし、諏訪湖を良くしたいというたくさんの思いに接しました。諏訪湖創生ビジョンは水質保全だけにとどまらず、魚の問題、水草ヒシの繁茂、魅力的な水辺環境の創出、さらには諏訪湖を生かしたまちづくりにまで対象が広がっています。縦割り行政に横ぐしを通した諏訪湖創生ビジョンの策定は感慨深い思い出です。ビジョンの実現に向けては諏訪湖の環境改善に取り組む住民団体の「諏訪湖クラブ」の皆さんと県が共同で事務局を担っています。官民の優れた協働事業を顕彰する「信州協働大賞」に諏訪湖創生ビジョン推進会議が選ばれたことは喜ばしいですね。

八ケ岳方面に目を移せば、このエリアが日本遺産「星降る中部高地の縄文世界」に認定されました。観光振興はもちろん、地域住民が縄文文化に改めて関心を持つきっかけにもなると思います。

公立諏訪東京理科大学(茅野市)は県外からも多くの学生を集めています。卒業後も諏訪で働き、生活する魅力を在学中にしっかりと伝え、諏訪をもっと好きになってもらう努力が必要になります。

―中央アルプス県立公園の国定公園化の県案が決定した。今後に寄せる期待は。

中央アルプスの素晴らしさは以前から認識しており、今までなぜ国定公園でなかったのか不思議なくらいです。国レベルで中央アルプスの価値を認めてもらうことはブランド力の向上につながります。自然環境を保護しつつ、持続的な利活用の推進が図られます。貴重な自然体験の場として質の向上にもつながることでしょう。

―今後の長野県に寄せる期待は。

これからの時代は一人多役の時代です。多様な働き方が一層増えていくことでしょう。私も週末には愛着のある富士見で癒やしと元気をもらい、都会で学んだ経験、ノウハウを地域に提供していきたいですね。国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)の考え方が示す経済的、社会的、環境的側面の総合的なアプローチとして「地域循環共生圏」が注目されています。農村漁村と都市が連携し、互いに足りないもの、例えば食料や自然資源などを農村から都市へ、資金や人材を都市から農村へ提供しあう循環型の地域づくりが大事になります。個人としても長野県や地域のためにもなるよう新たなステージで一生懸命頑張ります。

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