2019年04月10日付

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日ごと濃くなる日差しに道端の野花が開くと、園芸好きは心がウズウズしてくる。花木の店をのぞく楽しみも増えて「今年もいい花を咲かせたい」「どう仕立てようか」と気がはやる▼植物の栽培は案外繊細で、苗や株1本ごと育ち具合によって水やりや施肥の量、タイミング、日の当て加減などが違うから、都度、枝葉や土の顔色に心配りが要る。世の中とかく簡便と早さが好まれる時代ながら、手を尽くして愛情を注ぐ労に価値を見いだす人も増えている▼園芸熱が盛り上がる中、富士見町公民館は今月からバラの育て方講座を開く。受講条件がユニークで参加は夫婦同伴に限定。植える鉢も大きさ自由で持参してもらう。鉢選びから夫婦で仲良く相談して-との計らいだそうだ。講座は晩秋まで続くので、バラの育ち具合に夫婦の愛が試される▼栽培に挑戦するのはオレンジの花色が鮮やかな「プリンセス・ミチコ」。英国の育種会社から美智子皇后陛下に贈られた品種という。今月でご退位される今上天皇、皇后両陛下の「夫婦相和す姿に学ぶのが講座の本当の狙い」と館長の平出裕一さん▼平成を振り返る時、両陛下が人びとの前に膝をつき、手を握って語るお姿や、随所で拝したお互いをいたわるむつまじさが印象に深い。在位を通して示された深い慈愛と、平和への強い願いを新たな時代にも受け継いで、人が心寄せ合う美しい花を咲かせたい。

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