折井宏光さん60年の足跡 諏訪市美術館

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60年の足跡を語る折井宏光さん

院展特待の歴史画家、折井宏光さん(80)=諏訪市大和=の特集展示「歴史画・ロマンの世界」(諏訪市美術館主催)が、5月11日から7月21日まで同館で開かれる。歴史画の入門編として学んだ模写から、正確な時代考証のもとで綿密に描いた院展出品作など、画家60年の足跡を記す代表作を2階全フロアで発表する。

折井さんは幼い頃安曇野市に疎開、蔵にあった「日本童話集」などに描かれていた「歴史画」に出合った。空腹を忘れる程興味を持ち、多摩美術大学に進学。日本画家の新井勝利、森田曠平に師事、卒業後は歴史画の大家・安田靫彦に直に教えを受けた。

諏訪清陵高校、諏訪二葉高校などで教師を務める傍ら、院展を中心に出品を重ねた。その間、恩師森田の体調により、毎日新聞の小説の挿絵を引き継いだこともあった。

いずれの作品にも登場する鎧兜や衣装は、古来の朝廷や武家の礼式、装束、武具などを研究する有職故実に基づき、膨大な知識の裏付けによって描き出されている。

展示作品の「蓮曼荼羅浄土『当麻中将姫』」は、150号の院展出品作。最愛の母親を亡くした中将姫が、ハスの繊維を機織りに掛けて極楽浄土の様を描いている。同展出品作の「雄=上杉謙信」は、わずかな親衛隊で敵中を悠然と城中に入る謙信の姿がテーマだ。

また今展では平岩弓枝の小説「平安妖異伝」の挿絵や、大作の前段階で制作した小下図、鎧兜の資料など初公開も多く、画家の歩みに丁寧に迫っている。

折井さんは「歴史画を描く人はだんだん少なくなり、今は自分一人」と言う。「それぞれの作品には歴史の秘められたロマンがある。小中高生ら若い人たちにも作品の背景を知ってもらい、まず歴史に関心を持ってほしい」と話している。

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