小野のシダレグリ自生地 保存計画を策定

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幽玄のシダレグリを背に計画書を掲げる宮澤教育長(右)と遠藤会長

辰野町教育委員会は、同町小野の国天然記念物「小野のシダレグリ自生地」の保存管理計画を策定した。樹勢の衰えや外来種侵害が懸念されている指定区域のシダレグリ約1000本をくまなく調べ、保存手段から公開・活用の方針まで多面的な対策をまとめた。2018年度まで4カ年を費やした策定作業を経て計画書を刊行し、さっそく地元ボランティア団体による保全作業がスタート。計画を基に行政と住民で手を携え、後世への引き継ぎを図っていく。

シダレグリ自生地は1920年、国天然記念物に指定。国内最大規模の指定区域約2・2ヘクタールに樹木が密集し、町のシンボルとして県内外から観光客や写真愛好家を集めている。しかし近年は巨木を中心に枯損が目立ち、抜本的な方向付けのために保存管理計画を策定することにした。

計画書では、16年度調査により911本の自生を確認したほか、生育密度が高いことから日照や栄養の不足で枯れる木が出ている点を指摘。保全作業では今後数年、下草刈り、他種の低木除伐を集中的に進めることとした。オオハンゴンソウなどの外来植物対策は、繁殖しやすい斜面下側で根気よく掘り採りを行う。

今後の課題には▽景観形成に欠かせない幹周2メートル以上の巨木の保存▽踏み荒らしや外来植物の種子持ち込み要因となる無許可入山の規制▽将来的な保存管理の担い手確保―を列記。公開・活用では、天然記念物の価値を伝え保全意識を促す、観察会やシンポジウムなどの企画を検討する。

宮澤和徳教育長は「さまざまな角度からの調査と専門家の意見を集約し、充実した計画を立てることができた。自生地の美しい景観と自然環境とともに、地域みんなで町の宝であるシダレグリを守っていきたい」と話す。

06年から作業を担う、小野のシダレグリ自生地保全友の会の遠藤剛会長(81)は「これを新たな出発点に、作業を改善しながら効果的に取り組むことが重要。会員を増やして保全の輪も広げたい」としている。

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