移動診療車使い遠隔医療 伊那市が実証実験

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協定書を取り交わす白鳥孝市長(左)と柴尾嘉秀副社長

伊那市は14日、トヨタ自動車とソフトバンクの共同出資会社「モネ・テクノロジーズ」(東京)と自動運転社会に向けた次世代モビリティー(移動手段)サービスに関する連携協定を締結し、移動診療車を使った遠隔医療の実証実験を始めると発表した。モネが提供する配車サービスを活用し、効率的なルートで患者の自宅などを訪問できるようにする。今年度から2年間で実証に取り組み、2021年度の実用化を目指す。

モネは移動手段をサービスとして使う「モビリティー・アズ・ア・サービス(MaaS)」と呼ばれる新たな移動サービス事業の展開を目指して設立され、今年2月に全国14自治体との連携を発表。県内では同市が唯一で、医療支援に関するMaaSの取り組みは全国初という。

同市を含む上伊那地域は医師不足が深刻化。特に高齢化が進む中山間地域では医療体制の整備が課題だ。また、慢性疾患による定期通院患者は経過観察や投薬が主であり、通院や待ち時間が大きな負担となっている。今回の取り組みでは、医療側が地域に出向き、車を使ってサービスを提供するのが特徴で、移動困難者の負担軽減や、無医地区や医師少数区域の医療確保につなげる狙いがある。

対象となる患者は遠隔医療で認められる糖尿病や高血圧症など安定期にある慢性疾患で、看護師などが医療機器や情報通信機器を載せた車(一般車両)で患者の自宅などを訪問。車内でビデオ通話を通じて医師から指示を受けながら検査や処置を行う。現時点では伊那中央病院など市内3医療機関が参加を予定。将来的には小型無人機ドローンを活用した処方薬の配送サービスも視野に入れる。

事業費は3000万円を見込み、「トヨタ・モビリティ基金」の助成を受けて取り組む。市は今年度分の事業費1500万円を盛った補正予算案を市議会6月定例会に提出し、秋ごろの実証開始を目指して準備を進める。

市役所で開いた協定の締結式で、白鳥孝市長は「広大な面積を有する伊那市では津々浦々まで医療を行き渡らせることは難しい。地方の課題解決に向けてサービスを確立したい」と力を込めた。柴尾嘉秀副社長は「モビリティーを通じてすべての人々がより便利で快適な生活ができるサービスを伊那市と一緒につくっていきたい」と述べた。

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