上農高“生命”探究 和牛の繁殖実習

LINEで送る
Pocket

獣医師・小松洋太郎さん(手前)の検卵を見学する動物コースの2年生

上伊那農業高校(南箕輪村)で、生命探求の特徴ある学習が始まっている。動物コースはバイオテクノロジーを使った和牛の繁殖を実習。学科改編による新カリキュラムで学ぶ2年生は受精卵移植による優良血統牛の後継を残す取り組みを始め、実習で経験を積んできた生物科学科の3年生は人工授精に成功した。

動物コースの2年生19人は、学校で飼育する黒毛和種10頭の中で、最も血統の良い鹿児島系の雌牛に雌の子牛を産ませ、優良な後継雌牛を残す学習を総合実習で始めた。16日は、過剰排卵処理をした供卵牛から受精卵を回収、検卵し、性周期が一致した受卵牛に受精卵移植する作業を見学した。

実習にはエアーズロックETクリニック代表取締役で獣医師の小松洋太郎さん(57)=辰野町=が全面協力。供卵牛からの採卵を実演し、顕微鏡を使って受精卵3個を見つけて回収・検卵した。地域で畜産に携わっている同校卒業生も協力した。受精卵移植師の資格を持つ柴勇一郎さん(32)=箕輪町=は、小松さんが検卵した受精卵を受卵牛3頭に移植してみせた。

経営の中に移植を取り入れている柴さんは、見学する生徒たちに向かって「受精卵移植技術のおかげで上伊那の畜産は発展している。もう何年かすると上伊那は和牛の産地になる」と展望。小松さんは「牛は経済に直結する面白い仕事。バイオサイエンスに興味を持ってほしい」と呼び掛けた。

生物科学科動物コース3年の市ノ羽和泉さん(18)が、実習用繁殖牛2頭に施した人工授精が成功した。16日に超音波画像診断装置を使った妊娠鑑定を行い、2頭の受胎を確認。指導教員らから「おめでとう。確実に妊娠している」と声を掛けられ、笑みを浮かべた。

指導する境久雄教諭が1頭目の受胎を確認した後、2頭目は市ノ羽さん自らが装置を使って鑑定。モニター画像を注意深く見つめていた境教諭が「すごい、これも妊娠してるでー。100%や」と声を上げた。画像からは背骨や頭、脚なども確認でき、妊娠鑑定を見学した同コースのクラスメートらも生命の誕生を実感している様子だった。

「最初に人工授精した方は正直、無理かなと思っていた。(種が)ついてくれていて本当にうれしい」と市ノ羽さん。立ち会った教員らは「いきなり2頭の父親とはすごいな」と褒めた。

黒毛和種を飼育する同校では年間6~7頭を繁殖させているが、人工授精は資格がある教員が行っている。今回は自主的に練習を重ねてきた市ノ羽さんの意欲と上達ぶりをみた家畜人工授精師の境教諭が、サポートに入ることで体験の機会を与え、昨年12月30日に人工授精を行った。2頭の分娩予定は10月10日。

おすすめ情報

PAGE TOP