釜無ホテイアツモリソウ 実験園の公開断念

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生育不良の株が目立つ山麓実験園内の釜無ホテイアツモリソウ

富士見町内に自生する固有の希少植物・釜無ホテイアツモリソウの復元と、保護活動PRのため昨春、富士見パノラマリゾート内に開園した山麓実験園内の株の生育が悪く、町アツモリソウ再生会議と同リゾートは今季の公開を断念した。春先の降雪と寒波に、ネズミや虫の食害もあって有料公開に十分な開花が見込めないため。絶滅から救う取り組みを始めて13年。再生会議のメンバーは自然の厳しさと回復の難しさを改めて感じつつ、「失敗を踏み台にしてまた一歩、前進を目指したい」(中山洋再生会議会長)としている。

釜無ホテイアツモリソウは入笠山を中心に自生するが、2006年の調査では数株しか確認できず、絶滅寸前になった。町は町内の有識者、食品メーカー・ニチレイ、富士見高校など4団体と個人で再生会議を立ち上げて保護に着手。自生地を守りつつ、種からの栽培、増殖に取り組んできた。

「自然界での生育率は種5万粒に1株」ともいわれる中、失敗と試行錯誤を重ねて株の増殖に成功。5年前に初めて開花させ、増殖にも弾みがついたため、パノラマスキー場のゲレンデに実験エリアを設けて自然栽培を開始した。これまでに約80株を植え、昨年、公開に踏み切った。

この時期なら草丈10~12センチほどの成長が見込まれるが、園内の株はまだ5センチ程度。花芽の多くは春先の凍結で失った。自生地の環境に似た条件を選んで植えたものの、根腐れや崩れた土砂による株の流失、繁茂したササによる生育の妨げなどもあり、植栽した株の4分の1ほどが育たなかったとみられる。

再生会議事務局の平井史さんは「手作業での保護も及ばなかった。原因をしっかり検証して対策につなげたい」とし、中山会長は「これまでも失敗の連続だった。そうやすやすと育つものでもなく、実験園でいろいろな試行を重ねながら、完全な定着につなげたい」と意欲を新たにしている。

なお、パノラマリゾートのゴンドラ山頂駅近くにある実験園では今月末から花が見られる予定という。

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