2016年6月21日付

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初夏の沖縄。「ハーリー」と呼ばれる船のレースが各地で開かれる。伝統漁船の「サバニ」などを操り競漕する。もとは漁師が船の無事や豊漁を祈る祭りだったそうだが、今は観光イベントとしても知られる。沖縄本島中部にある嘉手納町の漁港でも今月12日、にぎやかに行われたそうだ▼嘉手納町の沖合は1945年4月1日、米軍艦艇で埋め尽くされたという。米軍が本島で最初に上陸したのが嘉手納湾だ。住民は激しい砲撃や空襲に見舞われ多くの犠牲者を出した。日本軍の組織的抵抗が終わったとされる6月23日は沖縄慰霊の日である▼今年3月、沖縄戦で犠牲になった住民の遺族らが国に対し、損害賠償と謝罪を求めた集団訴訟の判決が那覇地裁であった。原告側は「沖縄戦は国が国民を保護する義務に違反した」と訴えたが、判決は請求を棄却した。沖縄戦の住民訴訟では初めての判決だった▼昨夏の話になるが、沖縄を防衛した陸軍第32軍の牛島満司令官の孫で、教員の牛島貞満さんが宮田村で講演した。牛島さんは祖父の足跡や戦闘の実態を調べる中で「沖縄戦は本土決戦のための時間稼ぎ。日本軍は住民を守らなかった」と指摘した▼沖縄戦の死者は米軍を含めて20万人以上で、住民の犠牲者も10万人近いとされる。圧倒される数字である。いったん国土が戦場になれば、どんなに優秀な軍隊でも住民を守ることは難しい。そんな思いが募る。

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