2019年5月26日付

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音の鳴る信号機は公害か?―。視覚障がい者に青信号を知らせる音響式信号機の「音が鳴らない時間帯」を見直してほしいと障がい者団体が声を上げているという報道。なんとも胸がざわつく。命を守る手だての一つで「あって当然」であるはずが、あえて声明を出さなければならないとは▼昨年12月初めの早朝、東京都内の信号機のある交差点の横断歩道で、男性視覚障がい者が車にはねられて死亡した。午後7時~午前8時までは鳴らない音響式信号機だったため、男性は赤信号で横断し始め、事故に遭ってしまったという▼もし、音が鳴る状態だったら男性は今も元気に生活していただろうに。視覚障がい者でなければ気付けない安全施設の落とし穴か。夜間に音を鳴らさないのは周辺住民への配慮からという。障がいのない人たちへの気配りは必要。だが視覚障がい者の生命はより大切だ▼上伊那地方の障がい者支援グループ関係者は「信号機は見える人、聞こえる人だけのものではない。障がいのあるなしに関係なく安全は同等に守られるべき」と切望する▼警察庁は来年度にも音声で青信号を伝えるスマートフォン(スマホ)アプリを導入する方針だ。だが、スマホを使いこなす高齢者はどれだけいるだろうか。信号機が発する「ピヨピヨ」や「カッコー」の声を単に雑音ととらえず、命をつなぐ“音の羅針盤”と受け止める認識が求められている。

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