2016年06月22日付

LINEで送る
Pocket

平和憲法の真髄とも言える「前文」と「第9条」だけは読んでおいてほしい―。小説家の井上ひさしさんはそんな思いを込めて、「子どもにつたえる日本国憲法」(講談社)を書いたという。井上流に「翻訳」された文章が美しい▼たとえば、主権在民を宣言している前文の一節。「…そこで私たちは、代わりに国会へ送った人たちに二度と戦をしないようにと、しっかりとことづけることにした。この国の生き方を決める力は、私たち国民だけにある…」▼本の中で井上さんは、作家司馬遼太郎さんのエッセー「この国のかたち」の表題が憲法を指しているように思えるとして、「憲法はこの国のかたちである」と記す。根本となる憲法を基にして法律やルールがつくられ、それによって国の性格も決まってくるという▼国の行く末について考えをめぐらせる絶好の機会となる参院選がきょう公示され、7月10日の投開票日に向かって夏の舌戦が始まる。「18歳選挙権」が適用される初めての国政選挙。240万人といわれる10代の新有権者の「一票」は政治を活性化させるだろうか▼アベノミクスへの評価をはじめ選挙の争点はさまざまあるだろうが、憲法改正の是非が正面から議論されるかどうかも注目されるところ。「国のかたち」をこれからどうしていくのか。将来の国を背負っていく若い有権者たちの心にも響くような、活発な論戦を期待したい。

おすすめ情報

PAGE TOP