2019年5月29日付

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物心がついた時には既に大スターだったり、子どもの頃のヒーローだったりした人の訃報に接することが多くなった気がする。自分がそういう年になったということだろう。追悼記事からは、その人の物事に対する真摯で情熱的な向き合い方があればこそ、名を成したのだと教えられる▼女優の京マチ子さん。主演した黒沢明監督の映画「羅生門」のオーディションに、役に徹するために眉をそって臨み、黒沢監督の心をつかんだそうだ。プロ意識のすごみを感じさせるエピソードである▼自動車レースのF1で3度の王者に輝いたニキ・ラウダさん。1976年には、レース中の事故で生死の境をさまよいながら、わずか6週間後にレースに復帰した。その精神力もさることながら、もっと驚かされたのがその年の最終戦だ。大雨となり、ラウダさんは危険性を訴えてレース途中で棄権。目前にしていた2年連続王者の座より、自分の意志を貫くことを選んだのだ▼遠い存在でも心に穴が開いた感覚にとらわれるのだから、身近な人が亡くなった時の喪失感はあまりに大きい。「この人がどうして」と、ぶつけようのない怒りが込み上げる▼「伝えておくべきことがあったのに」「悩みを語り合っておけば良かった」―。悔いばかりが頭に浮かぶ。今ある平穏無事は次の瞬間にはどうなるか分からない。故人の生き方や人の死から学ばなければならないと思う。

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