2019年06月08日付

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取材先で名前の書き方を尋ねたら「昭和の…いえ、令和の『和』」と返ってきた。以前は『昭和の』と説明していたんですけどねーとその人。年号が変わったらにわかに「レトロから時代の最先端になった」と笑い合った▼レトロ、といえばかつては明治、大正時代を指した。初めて開かれた海外に臆さず目を向けて技術を取り込み、独自のアレンジを加えて和洋融合の新たな生活文化を創り築いた時代。「レトロ」の言葉には当時の人の創造力や熱意に対する尊敬が込められていたように思う▼平成以後に生まれた世代の目に昭和の人はどう映るのだろう。産業界は機械化、IT化を除けばいずこも、現場の人間がなすべき仕事はあまり変わりないように思う。が、仕事への価値観や人との関わり合い方などは随分変化している▼昭和世代が「仕事も飲み会もとことんやった」と話せば、平成世代は「そうですか~。(今どきあり得ませんよ)」と心の声まで聞こえてきそうな気のない相づち。先輩の無茶な仕事ぶりを武勇伝と聞いた時代も今や懐古▼それでも昭和を顧みれば、物の素材が上質で作りも丁寧だから重厚感があって長持ち、という良さがあった。人間も多少の荒っぽい扱いにも折れない安定感がある。人口減で戦力外通告が先延びする昭和世代。かつての長所が転じて「重すぎて扱いづらい」とささやかれないようにせいぜい気をつけたい。

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