家畜の幸福度測定へ実証実験 八ケ岳中央農大

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既存の鶏舎(写真)を改修し、より動物の福祉に配慮した「平飼い」方式を確立したいと話す八ケ岳中央農業実践大学校畜産部長の佐藤さん

原村の八ケ岳中央農業実践大学校は今年度から、家畜のアニマルウェルフェア(AW、動物福祉)に配慮した生産システムの構築を目指し、酪農、採卵鶏、養豚の3分野で飼育形態別の家畜の幸福度を測る実証実験を始める。3年計画で、科学的データに基づいたAWの評価方法を確立し、新しい生産システムとして畜産農家への普及を目指す。

同大学校は、日本中央競馬会(東京)主催の畜産振興事業に応募し、「AWの科学的評価法確立と実証拠点農場構築事業」(2019~21年度)が採用された。今後、助成を得て実証実験、システムの構築を進める。

同大学校としては初の導入となる養豚では、放牧養豚に20年度から取り組み、イネ科の牧草で育てる方式と、マメ科の牧草で育てる方式で各20頭を飼育する計画だ。養鶏では、現在行っているニワトリの「ケージ飼い」に加え、今秋から新たに5000羽を導入し、放し飼いの「平飼い」を行う。酪農では、乳牛のホルスタイン50頭を「舎飼い」、10頭を「完全放牧」、20頭を「(舎飼いと放牧の)混合」で飼育する予定。

幸福度の根拠となる科学的なデータ分析では、各飼育方法における家畜の行動や体温、栄養、衛生環境、ストレスなどを総合的に比較していく。急な刺激に対して、家畜が示す反応の強弱を見ることで幸福度を測定することも試みる。欧州では幸福度を測る評価法がすでに確立されているが、日本では遅れているという。同大学校は独自の基準を作り上げる計画だ。

動物の身体的、心理的状態をより良く保つことで畜産物の質の向上にもつながるというAWの考え方は、欧米が先進的で、日本も加盟する国際獣疫事務局(OIE)が国際ルールを提示している。20年の東京五輪・パラリンピックでも、選手らに提供される食材としてAWの国際規定に基づいた畜産物が求められており、所管する農水省はAW推進の方針を示している。

同大学校畜産部長で、同事業担当者の佐藤衆介さん(69)は「消費者の中には高額でも動物福祉に配慮した商品を望む人が増えてきている。科学的根拠に基づいた生産システムを構築し、八ケ岳の麓から動物福祉の考え方を発信したい」と意欲を見せている。

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