上農高生が人工授粉 美ケ原のアツモリソウ

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美ケ原高原のアツモリソウ保護回復事業に参画する上伊那農業高校(南箕輪村)の生徒が17日、松本、上田、長和の3市町にまたがる高原の自生地を訪れ、開花個体の人工授粉をした。絶滅の危機にひんするアツモリソウの無菌培養に向けた作業で4年目。確実に種子を結実させるため、花粉をめしべの柱頭に付着させた。一連の活動ではラン科植物の発芽に当たるプロトコームの形成と根の出現まで至っており、保護回復へ一歩ずつ前進している。

植物科学コースの3年生7人と有賀美保子教諭、県、中部森林管理局の職員らが参加した。自生地で今年確認されているのは16株。この日は同時開花した2株を対象に、ピンセットを使うなどして人工授粉を行った。

昨夏に続いて同時開花が見られたため、花粉を別の花の柱頭につける「他家授粉」を実施。同じ花につける自家授粉より受精率が高まり、種の状態も良くなるとされる。8月中旬に再び自生地を訪れてさやを採り、校内の無菌室で培地瓶に種をまく作業を進める予定だ。

プロトコームは白っぽい色をした細胞の塊。有賀教諭はこの日、「枯死したものも多いが、一部は根が分化してきた」と明かし、「(無菌培養の)苗を自生地に戻すことが最終目標だが、苗の作製には間違いなくたどり着ける」と展望。生徒の1人、斧研弥凪さん(17)は「失敗が許されない作業で緊張した」と授粉作業を振り返り、「根が出たものはまだ少ない。もっと増やせれば」と話した。

美ケ原にはかつて60株ほどが自生していたが、乱獲やシカの食害によって激減。次第に回復しているが、毎年15株前後にとどまる。この日は富士見町アツモリソウ再生会議に花弁などを提供。研究機関での遺伝子解析でホテイアツモリソウとの分化の度合いを調べる。

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