素材と手技の融合 辰野美術館で天野惣平展

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見る人を引き付ける天野さんの作品展

辰野町荒神山公園の辰野美術館は、昨年4月に64歳で亡くなった伊那市高遠町出身の造形作家天野惣平さんの作品展「around.~連綿たる手業/羽化するカタチ」を開いている。身近な素材と手作業の融合によって生み出された立体、平面の作品計21点が、来館者を魅了している。30日まで。

天野さんは武蔵野美術大を卒業後、イタリア留学を経て1983年から伊那市芝平(廃村集落)へ転居し制作に励んだ。同美術館のワークショップで30年にわたって講師を務めるなど、芸術振興に寄与。同館で取り組みを顕彰しようと特集展を企画した。

出展は、天野さんの寄託と妻幸子さん(67)の貸し出し作品。4本の柱のような造形物が並ぶ大型オブジェ「無題」(99年)は、麻の繊維を茶色や緑色などに染めてひも状により合わせ、発泡断熱材へ巻き付けて作った。ひもの連続性や色彩のグラデーションを通じて、自らの生きた時間を表現してある。

筆で描く工程に見向きもせず、染める、張る、組むといった不自由ともいえる間接表現に傾倒。ほかの作品もかんなくずを無数に張り付けてうねるような心象を表したり、塩素剤の腐食で濃淡の豊かな銅版画に仕上げたりと、独自の手法で形づくられている。

幸子さんは「初期から晩年までの作品を、素直にきれいだなと感じた。彼自身が幸せな時間を過ごした証しであり、多くの人に見てもらえるのがうれしい」と話す。同館の赤羽義洋学芸員は「黙々と手を動かして綿密なプランを形にし、時間までも織り込んだ作家。固有の境地を堪能してほしい」としている。

午前9時~午後5時。月曜休館。入館料大人300円、高校生以下無料。問い合わせは同館(電話0266・43・0753)へ。

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