2019年06月23日付

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物事を前向き、積極的に捉える「プラス思考」という言葉。事態の悪さを憂いて堂々巡りになる気持ちの切り替えには有効なのだが、気が沈む最中、他人から「プラス思考でいこう」などと励まされると、理解されない寂しさを感じてしまうのはなぜだろう▼富士見で講演したカウンセラーの百瀬敬子さん=山形村=は言葉の使い方、人との接し方を「勇気くじき」「勇気づけ」と分類した。例えば「早くしなさい」と「自分でできたね」。至らなさを責めるのではなく、努力を評価する。視点を変えれば幸せな信頼関係が生まれる―とアドバイスした▼受講者は「だらしがない」を「飾らない」と言い換えたり、「優柔不断」を「熟考」、「せっかち」は「行動力がある」と見方を変えてみたりした。昔から『物は言いよう』というがしかり。どんな短所も長所に捉え換えられるし、見方もつくづく多様だ▼白血病と闘う競泳選手の池江璃花子さんは自身のホームページで、治療の過酷さをうかがわせつつも「人生の中のたった数カ月間」と記した。日一日が命懸けの闘病に一生涯という長い物差しを当てて前を向く池江さんの言葉は、多くの人を勇気づける▼根っから何事も前向きに考えられるという人は存在するのだろうか。「プラス思考」とは困難や挫折、諦めなど深いマイナスの感情と苦闘した果てにようやく得られる光なのではないかと思う。

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