2019年07月04日付

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安倍晋三首相が20カ国・地域首脳会議の夕食会で大阪城のエレベーターについて発言したことをきっかけに、城郭復元のあり方が話題になっている。現在の大阪城天守閣は1931年に再建され、エレベーターもこの時からある▼現存天守を持つ国宝・松本城と比べると史跡としての価値は低そうな気がしてしまうが、90年近く前の鉄筋コンクリート製建築物が今となっては貴重で、近代建築として国の有形登録文化財になっている▼大阪城ほど有名ではないものの復元天守は日本各地にあり、なかには史実に基づかない「模擬天守」まである。県内でも長野市の大峰城という山城の跡に模擬天守が建っており、深い山の中に埋もれるように建つきれいな白壁の天守という風変わりな景色は、違和感もあるが、妙な魅力もある。歴史好きには嫌われがちな模擬天守だが、これも長い時が過ぎる中で、いずれは史跡になるのだろうかとも思う▼名古屋市の名古屋城にも木造での復元計画がある。市は史実に忠実な復元にこだわるため、エレベーターを設置しない方針で、これに対して障がい者団体などが反発している▼エレベーター以外で上層階に上がる方法も検討されているようだが、いずれにしても、誰かが排除されるような事態にならないことを願う。鉄筋コンクリートの大阪城が高く評価されるように、史実の再現だけに価値があるとは限らないのだから。

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