2019年07月10日付

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やけに短いと思って聞いてみたら、草丈は例年の3分の2だという。実りも良くないらしい。遠くから見た麦畑は黄金色のじゅうたんを広げていたが、近くで見ると様子は違っていた。遅霜の影響なんだそうだ▼伊那市富県小学校の児童が、農業体験で地元の「貝沼の自然環境を守る会」と一緒に作った小麦だった。標高700メートルを超えるこの辺りでは、4月下旬に強い霜に遭った。場所によってはうっすらと氷が張るほどだった。暖冬だったために麦は思いのほか伸びていて、新芽が直撃を受けたようだ▼農業体験は学校と地域の連携事業で、食の大切さや農業・農村の大切さを教える取り組みは、いわば農育だ。子どもたちが古里の自然環境を守る気持ちを養い、魅力あふれる地域をつくる担い手になってほしいと期待を込める▼「あっちは大丈夫」。会員が指さす隣の麦畑に目をやると、草丈があり、穂の色も濃い。聞けば、昨秋の種まきが、半月ほど遅かったそうだ。「あのときは、今ごろまいても遅くてだめよー、なんて言っていたが、遅かったおかげで霜の影響が少なかったみたいだ。分からんもんだな」▼農業は自然の影響を直接受ける。出来が良くても、翌年同じ条件で栽培できるとは限らないから難しい。「作るのは年に1回。50年、60年やっても毎年1年生だから」と会長の守谷勇一さん。農育では、子どもたちにこんな苦労も教えている。

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